これまで得た知見 (中野貴成・助教)

ヤマサ醤油(株)診断薬部 免疫研究室(1998年より)

  1. 血中酸化HDL測定系の開発

  2. 遊離イムノグロブリン軽鎖測定系の開発
 

埼玉医科大学(2005年より)

  1. 小腸アルカリホスファターゼはキロミクロン産生と平行して、その分泌・産生が亢進する(Nakano et al. BBRC 2006)。申請者は、当該酵素がキロミクロンの産生制御に関与していること、そしてその遺伝子欠損マウスが脂肪肝を伴う代謝異常の表現型を示すことを見いだした(Nakano et al. AJP GI and Liver Physiol 2007;292:G1439)。

  2. 脂質吸収の過程における小腸アルカリホスファターゼの分泌・産生変化の機序を研究する中で、申請者は腸上皮膜タンパクの局在が、脂質摂取後にダイナミックに変化することを認めた (Nakano et al. AJP GI and Liver Physiol 2009;297:G207)。

  3. (b)の知見は微絨毛での小胞の放出に関与していることが分かった。そしてそれは、ウイルス粒子放出過程との相関性があった。そこで申請者はその現象をウイルス防御へ応用した (Nakano et al. BBA biomembranes 2009;1788:2222) 。

  4. 申請者は腸上皮モデルを活用し、細胞レベルでのキロミクロン産生メカニズムの解明を進めル中で、脂質組成によってキロミクロンの産生が大きく増減することを報告した(Nakano et al. J Clin Biochem Nutr 2009;45:227)。さらに食後高血糖抑制剤アカルボースのキロミクロン産生抑制効果についても、細胞レベルにて確認し報告した(Nakano et al. Metabolism 2009)。


これら研究やリポタンパク関連研究(Free Radical Biology and Medicine, 2006;41:1542, Clinica Chimica Acta 2005;362:119-124, Clinica Chimica Acta 2003; 335:101-107, Journal of Laboratory and Clinical Medicine 2003;141:378-84 etc.)を踏まえて、小腸におけるキロミクロン産生メカニズムの生理・生化学的解析を進めている。